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宮崎・日向で「介護絵日記」出版へ 認知症理解のため「歩くクラウドファンディング」立ち上げ

「寅市つれづれ日記」作者の甲斐真由美さん

「寅市つれづれ日記」作者の甲斐真由美さん

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 日向在住の看護助手が12月6日、認知症だった祖父とのやりとりを記した絵日記の書籍出版を目指す「歩くクラウドファンディング」を仲間と共に始めた。

記者会見で「介護絵日記」を説明する甲斐さん

 絵日記の作者は日向市在住の甲斐真由美さん。今は亡き祖父、井上寅市さんの介護を5年間続け、楽しかった祖父とのやりとりや感謝の気持ち、介護を通じて学んだことを2冊の絵日記にまとめた。「寅市つれづれ日記」「じいちゃんありがとう」の2作品で、寅一さんの死後、甲斐さんが勤めるようになった三俣病院(日向市美々津)で誰でも読めるようにしたところ「認知症のことが分かりやすい」「介護する側も頑張りすぎなくていいんだ」などと共感の声が上がり、ほかの病院や薬局、公民館、図書館などでも展示した。

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 2016(平成28)年に市内の認知症をテーマにしたフォーラムで絵日記を紹介しながら寅市さんの介護体験を講演したところ、書籍化の要望が届くようになったため、現在自費出版実現を目指し支援を広く呼び掛けている。

「2011(平成23)年に93歳で他界したが、祖父との日々で当たり前のことに感謝することや、欲が邪魔して大切なことを忘れることがないようにする姿勢を学んだ。自分自身の戒めのためにと書いた絵日記だったので、書籍化するつもりはなかったが、認知症に対する理解が広がるのであればと今回思い切って書籍化を決意した」と甲斐さん。寅市さんの介護の経験から、もっと認知症の皆さんに寄り添っていきたいと看護助手になったこともあり、「認知症を一つの個性として普通に受け止める社会になれたら、当事者の皆さんも、介護する側も自然体になれるはず」とも。

 書籍出版に当たり、社会福祉協議会や知人らが寅市さんの名前にちなみ、プロジェクトチーム「Tiger One(タイガーワン)」を立ち上げた。甲斐さんとメンバーを中心に目標額を100万円に設定し、出版のための支援者を集める。甲斐さんによると、「インターネットは苦手」という理由から、一般的なクラウドファンディングの手法は取らず、「歩くクラウドファンディング」と名付け、資金を直接メンバーらが集める。出資金額は1人1冊=1,500円~。

 メンバーの1人で日向市社会福祉協議会の認知症地域支援推進員である成合進也さんは「甲斐さんの絵日記を書籍化できたら、その本を活用した地域支援活動を実践することで、認知症の人にやさしい地域づくりを推進したい。認知症当事者の思い、家族、支援者の思い、日常の生活場面での対応、サポートなどについて理解を深められれば」と話す。

 寅市さんの命日である4月17日に本を完成させることを目標に、先行予約を受け付ける。申し込みは日向市社会福祉協議会(TEL 0982-52-2572)まで。