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宮崎・美郷で「スーパー公務員」講演会 移住者増の町おこし事例など紹介

島根・邑南町役場の寺本英仁さん

島根・邑南町役場の寺本英仁さん

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 西郷ニューホープセンター(宮崎市美郷町)で8月26日、島根・邑南(おおなん)町職員の寺本英仁さんによる講演会が開かれた。

美郷町の西郷ニューホープセンターに集まった参加者

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 会場には地元民ら約60人が参加。メモを取るなどして、「スーパー公務員」と称される寺本さんの話に熱心な表情で耳を傾けた。

 寺本さんは島根県石見町(現・邑南町)出身。東京農業大学卒業後、水中写真カメラマンになる夢を持つも、Uターン。地元の町役場職員となった。「平成の大合併」で町が統合され、町が消滅する危機を感じたという寺本さんは、食での町おこし策を次々に打ち出す。実績のあるシェフを招き、高級感のある町営イタリア料理店「AJIKURA」を造ったり、地域おこし協力隊制度を利用し、料理人を目指すIターン向けの移住者研修制度を生み出したりした。結果、過疎の町が「A級グルメ」の町と認識されるようになり、20~30代の若い移住者が集まり、合計特殊出生率が全国平均を超え、1万人の町に年間90万人の観光客が来るようになった。

 この日の講演テーマは「ビレッジプライド」。各メディアに取り上げられた映像を見せながら、邑南町で取り組んできた食と農業を中心にした地方創生事例を紹介した。寺本さんによると、観光、若者の移住者促進、起業家育成などの地方創生策がうまくいかないのは「地元の人がうれしくないから」だという。「街づくりの主役は誰なのかを考えること。高齢者率の高い邑南町では高齢者が主役。彼らが活躍してくれたら町が元気になる」と話し、地区の高齢者たちがベーカリーやそば店開業のために移住者に出資し、今も店を支えていることを話した。「おいしいものは地方にあって、おいしいものを知っているのは地方の人間」「地方は永久に残していきたい食材のある、A級グルメの宝庫」とも。

 講演会を企画した「みやざき6次産業化プランナー」の安達雄樹さんは「寺本さんの熱量を感じていただけたのでは」と話す。

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