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日向市在住女性が認知症の祖父介護日記を出版 命日に墓前報告

介護中のエピソードに、温かみのある絵文字や絵が添えられた「寅市つれづれ日記」

介護中のエピソードに、温かみのある絵文字や絵が添えられた「寅市つれづれ日記」

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 日向市在住の甲斐真由美さんが4月17日、祖父の介護体験をつづった書籍「寅市つれづれ日記」を刊行した。B5判フルカラー、価格は1,500円。

寅市さんの素直な言葉に思わず笑みがこぼれる

 甲斐さんの祖父・井上寅市さんが認知症を発症したのは88歳の2006(平成18)年。今年で110年続く老舗の帽子メーカー「井上制帽所」(宮崎市谷川)を営んでいた家族は仕事と祖父の介護の両立が始まった。

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 甲斐さんは両親の負担を減らしたいと、日向市から車で1時間かかる祖父の所へ通うようになり、2011(平成23)年4月17日に寅市さんが亡くなるまでの5年間、通院や食事、排せつなどを介助。5年間で感じた思いなどを、寅市さんの死後2カ月でらくがき帳に書きとめた

 「祖父の介護をしている時に、私が祖父を支えているのではなく、私自身が祖父に支えられていることに気づいた」と甲斐さん。「認知症という病気がなかったら、祖父の手をこんなに握ることも、相手を思いやることもなく、戦争を経験し家業を守るために仕事に明け暮れた祖父の生き様から、当たり前のことに感謝することや、ありがとうという言葉の大切さ、欲を持たない心などを教えられた。私自身の心が洗われた」と振り返る。

 甲斐さんは、らくがき帳にまとめた絵日記を読んだ人から「認知症と気負わずに向き合えるようになった」「認知症だからといって、お互い頑張らなくていいんだ」との声を聞き、周囲の後押しを受けて書籍化を決意。支援者と共に670冊分の先行予約を集め、目標金額の100万円を集めて、自費出版にこぎ着けた。

 寅市さんの命日に完成した本を墓前に持っていき、出版の報告をしたという甲斐さんは「じいちゃんが天国で、『俺はボケたんじゃない。真由美のためにボケたふりをしただけじゃが』と言っているような気がする。私とじいちゃんの交流を読んでもらった方に、認知症は悪いことばかりでないことを知ってもらえたら」と話す。

 甲斐さんは現在、寅市さんが入院してから息を引き取るまでを描いた書籍「じいちゃん ありがとう」の出版を目指し、資金調達のための先行予約を受け付けている。申し込みは日向市社会福祉協議会(TEL 0982-52-2572)まで。

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