日向市役所(日向市本町)で国の登録有形文化財となった「細島灯台」の登録証とプレートを日向市長から海上保安署長に手渡す伝達式が7月18日、開かれた。
伝達式の様子。(左3人目から)十屋幸平日向市長、林田保宏日向海上保安署長
日向岬に位置する高さ約11メートル、白色塔形コンクリート造りの灯台は、1910(明治43)年5月10日に初点灯した。2019(平成31)年3月29日に有形文化財として登録され、日向市としては大御神社(伊勢ヶ浜)などに続き、4件目の登録となった。鉄筋コンクリート造りの塔に金属製の灯室を載せ、半円アーチ型に突出する出入り口などの細部に昭和期に流行した意匠を持つことから、評価基準の造形の規範となっていることが認められた。
登録有形文化財は1996(平成8)年の文化財保護法改正において、保存や活用が特に必要とされる建造物のために、文化財登録制度に基づき登録されたもの。文化財を後世に継承していくことを目的とする。
当初は木造灯台だったが、設置された年の12月に火災により六角形レンガ造りに、1941(昭和16)年に地元青年団がコンクリート造りの灯台に建て替えた。2017(平成29)年6月、日本ロマンチスト協会と日本財団が「恋する灯台」として認定した。
十屋幸平日向市長は「当初は、柱状節理の岩礁を避けるために初代の灯台が造られたと聞く。長い歴史の中で細島地域と海上交通の安全を守ってくれたということで私たちも大切にしていかなければならない、価値のある建造物だと思う。周辺には同じく国の登録有形文化財である大御神社、細島験潮場のほか、馬ヶ背を代表とする天然記念物の柱状節理、妙国寺とさまざまな地域の宝がある。今回の細島灯台登録を一つの弾みとして地域活性化、観光等に生かしていきたい」と話す。
日向海上保安署の林田保宏署長は「100年以上、日向灘で航行する船舶に明かりをともしてきた。細島灯台が日向市民の憩いの場、地域振興で活用されることを期待する。重要な文化財として今後も保全に努めていきたい」と話す。灯台記念日が11月1日であることにも触れ、今後記念日前後に一般公開をする可能性を示唆した。