![十屋幸平日向市長に自著「THE BOKUSUI」を説明する寺原正喜さん](https://images.keizai.biz/hyuga_keizai/headline/1564522453_photo.jpg)
日向市出身で元英語教師の寺原正喜さんが7月26日、十屋幸平日向市長を表敬訪問し、若山牧水の短歌100首を英訳した自著「THE BOKUSUI」を日向市に贈呈した。
寺原さんの亡き父・巌(いわお)さんは若山牧水と同じ、東郷町坪谷の出身。寺原さんによると巌さんは若山牧水をこよなく愛し、酩酊すると牧水に成り代わったかのように短歌を朗詠し、寺原さんは幼い頃から牧水の短歌を耳にしてきたという。寺原さんは「巌さんが亡くなる直前、『ふるさとの…』と耳元でささやくと、精いっぱい口を開いて『おすずのやま かなしさよ』と応えてくれた」と振り返る。
英語教師を39年間務めた寺原さん。同書執筆は、2年前に放送大学大学院に入学したことがきっかけ。修士論文で取り組んだのが牧水の短歌英訳だったという。論文を指導した同大学院の宮本陽一郎教授からの勧めで、自費出版した。
本でとりあげた100首は牧水が残した15の歌集から選び、歌集未収録の歌も盛り込んだ。文庫本サイズで、全235ページ。発行数は500部。短歌と英訳を見開きで並べ、歌の背景や英語についての解説、ほとんどを自分で撮影したという歌にまつわる写真も掲載した。
寺原さんはこの日、本について「牧水の人となりや生き方を考察し、年を重ねて成長し変化する牧水をできる限り追いかけた。音節を考え、『白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ』の英訳では、牧水が『あの鳥を見てごらん』と言っているように感じて、『Look at that white bird』と訳したかったが、調べが長くなるのを避け『White bird!』と呼びかける形にした」と話す。十屋市長に牧水短歌の魅力、出版するまでの苦労話を披露した。
「亡き父にささげることができ、本ができたことをうれしく思う。学生や一般の方、できるだけたくさんの人に読んでもらいたい。外国の方にも、牧水を知らない方たちに知ってもらいたい」と寺原さん。
十屋市長は「表紙を拝見した時に、ブルーで牧水そのものを表していると感じた。日向の牧水が海外に広がることを期待する」とエールを送る。
価格は864円。宮崎県内の書店やアマゾンなどで販売する。