建設会社「鈴木組」(椎葉村大字下福良)の鈴木宏明さんが2月19日、中小企業庁が主催する「アトツギ甲子園」に出場し、第1位である最優秀賞を獲得した。
アトツギ甲子園は、34歳以下の中小企業の承継予定者(後継ぎ)が新規事業プランを競うイベント。全国規模で行われるのは初めてで、101人の応募の中から書類審査を通過した15人がファイナリストとなり、東京でプレゼンテーションを行った。
鈴木さんの発表は「キャビアから始まる無くさない世界」と題したもの。承継予定の父親の会社で、建設業、林業などと共にチョウザメの養殖業に取り組む中で、チョウザメが絶滅危惧種に認定されていることを知った。理由は密漁や乱獲がされているから。キャビアはメスからしか採卵できないが、チョウザメは雌雄が分かるまでに3年、キャビアをとるまでに8年という長い年月がかかる。鈴木さんは稚魚と成魚を別々の会社で育て、効率化を図り、各地で放置されている廃校のプールや耕作放棄地を養殖場とし、施設や土地の利活用、雇用創出などの社会課題を解決しながら、環境に配慮し、チョウザメを絶滅させないプランを発表した。
当日、優勝者が発表されると、鈴木さんがうっすら涙を浮かべる一幕も見られた。これまでにもビジネスプランコンテストの出場経験がある鈴木さんは「忙しさを理由に最初は参加することに意味があると考え、プレゼンテーションの資料作りにも身が入らなかったが、メンタリングなどを経て、だんだん熱くなり、当日を迎えた。今回初めて、プレゼン前に足が震えた。自分の順番は最後だったので、ほかの出場者すべての発表を聞いていたが、皆さんレベルが高かったので、よく自分が優勝できたなと思う」と笑顔を見せる。