日向市中央公民館(中町)で12月22日、「マスターズ短歌甲子園」が行われた。
日向市東郷町出身で歌人の若山牧水を顕彰し、行う同大会。高校生以上を対象にした短歌愛好家たちが自作の短歌を披露し、1チーム3人の団体で競う。毎年夏に開かれる高校生の大会「牧水短歌甲子園」に倣って開催するようになった。
今年は県内から4チーム、22歳~97歳が参加し、日向市に住む短歌愛好家「日高チーム」、宮崎大学の学生およびOBで構成する「はにわのマーチ」、旭化成日向・門川地区OB会の短歌同好会で構成する「あさひ短歌愛好家」、宮崎市の短歌結社「心の花」の会員で構成する「みつあみ」。2回戦の接戦を制し、はにわのマーチが優勝した。
予選では「和」の題詠で自作の短歌を披露した。「額縁の円きに草書の和の字あり花鉢のある小さき事務所に」(日高チーム・長渡栄子さん)、「手を広げ和が輪となりて丸くなり世界の平和五輪で描く」(あさひ短歌愛好会・加藤積さん)、「明日帰る留学生とともに食う和製英語のソフトクリーム」(はにわのマーチ・久永草太さん)など。作品を披露した後は互いのチームに「若い人しか歌えない短歌」「助詞を入れたらどうか」「場所を入れたらどうか」など意見を出し、討論した。
はにわのマーチとみつあみが予選を勝ち抜き、決勝では「古」を題詠に「母がもつ古いガラケー待ち受けの五歳の我に面影探す」(はにわのマーチ・吉川七菜子さん)、「よつ引いてひやうど放つのときに声大きく放つ古典の授業」(はにわのマーチ・能勢絢子さん)、「県道下北古墳線にて区切られてプラスチックは第2火曜日」(みつあみ・鬼束美佐子さん)などが披露された。
優勝したはにわのマーチのメンバー、大学4年の吉川七菜子さんは「チームメンバーの2人はマスターズ短歌甲子園の参加経験者で、私自身は初めての参加だった。対戦相手からどんな質問がくるか想定しながら練習してきた。日頃から家族の短歌を詠むことが多く、今後は皆が楽しく意外性のある短歌に挑戦してみたい。来年は進学で県外に行く予定だが、また参加したい」と話す。
審査員の歌人・俵万智さん、大口玲子さん、笹公人さんが勝敗の判定を行った。審査員長の伊藤一彦さんは「4チームの特色、それぞれの作品の体験や思いがよく出ていて、優れたチームばかりだった。いい作品が集まり、今回も非常にレベルの高い大会だった」と講評した。