薬草観察会が10月23日、日向市東郷町の牧水公園付近で行われた。主催は日向市・東臼杵郡薬剤師会「やくそう会」。
同会は薬剤師、管理栄養士を中心とした薬草・ハーブ愛好家で構成する市民団体。薬草観察会の開催は今回が初めて。同会では、生産者、行政、大学、薬剤師会、販売加盟薬局と連携しながら市民健康増進、薬草観察会や薬膳料理試食会を通した薬草文化の創出・伝承、地元産ハーブの産業化支援を目的とした産学官民連携事業を行っている。
日向市・東臼杵郡薬剤師会会長の猿川隆文さんは「2015(平成27)年に日向市薬草の里づくり事業を支援する目的で委員会が設立された。当会では広報活動や薬草観察会の支援活動を行ってきた。委員会設置から5年目の2018(平成30)年、日向市の議会で2020年度をもって薬草の里づくり事業の発展的解消が決定されたことに伴い、日向市から当会への移管の要請があり、2020年9月1日にやくそう会が誕生した。当初より目的としていた産業創生も支援したいとの会員の思いから市内や美郷町にある5カ所の薬局でカモミールティーの販売を行っている。今後も各関係機関と連携を維持しながら、当初からの理念である地方創生、町おこし事業にも微力ながら力を尽くしていきたい」と話す。
秋晴れとなったこの日、薬草案内人で薬剤師の甲斐晃弘さん、福森星子さんが牧水公園付近約1.5キロの道を案内しながら道端に茂る薬草を観察した。日本の代表的な薬草として知られる「ドクダミ」「センブリ」「ゲンノショウコ」の紹介や薬草の用途、効果など約30種類の薬草の説明を行った。同町出身の詩人・若山牧水の薬草を題材にした短歌の紹介も行い、参加者は観察会を楽しんでいた。
小学3年と小学1年の息子と参加した日向市在住の40代女性は「子どもたちに自然の中でのびのびと成長してほしいと参加した。自宅近くに裏山があり、今まで雑草と思っていたツユクサやスギナが食べられるのは知らなかった。雑草が宝に変わった。子どもたちもポンポン草の遊び方を知り、いい思い出になったと思う。昔の知恵を見直し、子どもたちには生きる力を身につけてほしいと改めて感じた」と話す。
観察会終了後は、日向市在住の管理栄養士・黒木麗子さんの手作りで、同町産カモミールを使ったカモミールまんじゅうとカモミールティーが参加者に配布された。