「日向市アカウミガメ研究会」が8月15日、小倉ヶ浜(日向市平岩)でアカウミガメのふ化数調査を行った。
同研究会メンバーの黒木豊さんによると、8月10日、赤岩川の左岸の小倉ヶ浜北エリアで子ガメが巣立つ兆候という「産卵巣の陥没」を見つけ、5日が経過したことから産卵巣を掘り出し、調査したという。黒木さんは「産卵日は6月16日と推定される。50~60センチの深さの穴を掘ると、ふ化して巣立ったものと思われる卵の殻が約96個、ふ化しなかった卵(腐卵)が15個見つかり、ふ化したものの巣から出られず、穴にとどまっていた体長5センチの子ガメが1匹はい出てきた。巣に残っていた子ガメが海に向かう姿も見られた」と話す。
宮崎市から家族と共に調査に立ち会った中学1年生の黒木杏菜さんは「夏休みの自由研究でウミガメのことを調べようと思い来た。子ガメは一斉に海に巣立つと思っていたが、巣立ち遅れた子ガメがいること、ふ化できなかった卵があることを知った。子ガメが海に向かう様子を見て生命力を感じた。学校が始まったら友だちに伝えたい」と話す。
同研究会は5月から5カ月間、金ヶ浜エリア、小倉ヶ浜南エリア、小倉ヶ浜北エリアなどに分け、毎朝調査を行う。今年は、金ヶ浜エリアで上陸6回、産卵4回、小倉ヶ浜南エリアで上陸3回、産卵3回、小倉ヶ浜北エリアで上陸10回、産卵7回、伊勢ヶ浜エリアで上陸1回、産卵1回、鵜戸の瀬エリアで上陸1回が確認されている。アカウミガメは、環境省が公表する、絶滅のおそれのある野生動物のリスト「レッドリスト」で絶滅危惧IB類に指定されている。
研究会会長の児玉嘉嗣さんは「昨年は野生動物に産卵巣を荒らされふ化数が少なかった。上陸・産卵の数は毎年全体的に下降している。今後は若い世代の人たちにも参加してもらい、興味を持っていただけたら。研究会の会員も増やしていきたい」と話す。