日向市の社会課題を解決し、新しいビジネスを生み出そうと、県立富島高校の生徒がチャレンジショップを始めることが6月21日、明らかになった。リユース店「マンガ倉庫 日向店」(日知屋)が場所や販売技術を提供する。
富島高校の生徒たちと「悟空」の甲斐悟代表(2列目左から2人目)、瀬ノ口正太教諭(同列右端)
今回の取り組みは同高課題研究の地域活性化プロジェクトの一環。リユース店を営業する。
2020年6月に発足した、地域産業の活性化を目指す「ひなたイノベーションセンター」で、マンガ倉庫日向店の運営会社「悟空」の代表、甲斐悟さんと富島高校の小川晴彦校長が出会ったことがきっかけとなった。
甲斐さんの店では、店が客から買い取った洋服や雑貨、書籍などのうち4割が商品として売り場に並ぶ一方、6割は廃棄されたり、海外へ輸出されたりしている。海外へ輸出していたものをチャレンジショップで販売することで、もう一度資源を地域に循環させることを目指す。マンガ倉庫が在庫の保管場所などとして使っているコンビニ跡地を提供し、リユース店のノウハウを生徒たちに教える。生徒たちは、店を営業することで商品や売り上げの管理、販売促進活動などのほか、接客、レジ操作などから小売業の基礎を学ぶ。
オープンまでに甲斐さんが講義を行う。この日は初回の講義で、生徒たちが店のコンセプトを発表。「BGMに流行の音楽を選ぶとターゲットが限定されるので、音楽はオルゴールにしては」、「好奇心旺盛な子どもたちに来てもらえるように、親子連れが安心できる環境にしたい」などの意見が出された。
甲斐さんは「高校では課外活動で収益を上げてはいけないと聞き、それでは体験の価値が低いのではないかと考えた。私の会社の口座を使うことでお金の流れもきちんとわかるようにし、収益が上がった場合はフードバンクなど地域の慈善事業団体などに寄付する。誰も損せず、みんなが得をする地域活動にしていけたら。現代は知識ではなく経験が重視される時代。この経験を通して、高校生には大いに成功体験や失敗体験を積んでほしい。仕事の習熟度には『知る』『わかる』『できる』『チームでできる』の4段階があるので、まず知ってもらうことから始める。利益を出す体験を楽しんでもらえたら」と話す。
商業科担当教諭の瀬ノ口正太さんは「学校の授業で知る知識と、現場で学ぶ体験が掛け合わされて、生徒の身になればうれしい。地域に出て店を営業することになるので、日向市やまちの人たちに貢献できたら」と話す。
チャレンジショップのオープンは9月13日を予定。