食べる 見る・遊ぶ 学ぶ・知る

宮崎・椎葉で「玄ソバの聖地・そば会」 世界農業遺産10周年記念で

(左から)そば職人の宮島秀幸さんと焼き畑農法でソバを生産する椎葉勝さん

(左から)そば職人の宮島秀幸さんと焼き畑農法でソバを生産する椎葉勝さん

  • 1

  •  

 宮崎・椎葉で9月2日、世界農業遺産認定10周年を記念して「玄蕎麦の聖地・そば会」が「焼畑蕎麦(そば)苦楽部(くらぶ)」(椎葉村不土野)で開かれた。

焼き畑で作られたソバを使った、打ちたての十割そば

[広告]

 企画したのは、東京在住の弁護士・笠原克美さん。笠原さんは1990年代の一時期、うまいそばを求めて全国の店を愛車のフェラーリで訪問し、メディアで取り上げられたこともある。そば好きが高じて椎葉で伝統的に栽培されている焼き畑農法のソバを知り、生産者の椎葉勝さんを応援する。椎葉さんが焼き畑を行う椎葉村を含んだ「宮崎県高千穂郷・椎葉山地域」が「世界農業遺産」に認定され、今年12月で10周年を迎えることから、笠原さんが記念イベントとして「玄蕎麦の聖地・そば会」を開催したいと椎葉さんに相談。長野県駒ケ根市のそば店「丸冨」店主の宮島秀幸さんに椎葉に来てもらい、腕を振るってもらうことになった。玄ソバとは、結実し収穫されたままの殻つきのソバの実のこと。

 笠原さんは高齢のため、当日の参加はかなわなかったが、椎葉村長、村議会議員、役場職員など約20人が出席し、椎葉さんが作った玄ソバを使ったそばを宮島さんが目の前で打っていく様子を見学した。そばの香りが会場に広がり、十割そばであるのに細く、長い麺に打ち上げていく姿を、出席者はじっと見守った。

 椎葉村でも昔からそばを打つが、太く、短く切れる麺になる。宮原さんによると、椎葉さんのソバは繊維質が多いため、切れずに打てるという。宮原さんは「材料の勝利」と打った感想を話した。二八そば、そばがきも提供。椎葉さんは「笠原先生との縁が今回のそば会につながった。山間地で生きるのは大変だが、神楽などと同様、焼き畑をこれからも守っていく」と話す。

 焼き畑農法は縄文時代からあるが、日本で焼き畑を続ける唯一の地で、焼き畑で固有の在来種のソバを栽培し続けるのも「ここだけ」だという。

 参加者からは「椎葉のソバの魅力を改めて感じた」「椎葉の焼き畑のソバは日本でここに一つ、世界にここに一つしかない。もっとそのことを大きく感じ発信していかなくては」などの声が聞かれた。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース