絵画の展示イベント「水辺の青空美術館」が11月1日、延岡市を流れる五ヶ瀬川沿いの遊歩道で始まった。主催は「五ヶ瀬川の畳堤を守る会」。
「畳堤」は、台風などで川の水が堤防を越えて氾濫(はんらん)する前に畳を立てて、洪水を防ぐための特殊堤防。現在、五ヶ瀬川のほか、岐阜県岐阜市の長良川、兵庫県たつの市の揖保川の3カ所しか残っておらず、昭和初期に建設された五ヶ瀬川の畳堤が最も古い。普段はコンクリート製の枠だけが堤防上に設置されていて、延べ980メートルが現存する。
災害への先人たちの知恵である畳堤を後世に伝え、意義を知ってもらい、同時に延岡の良さを再発見してもらおうと、守る会が美術イベントを企画。製作者たちは畳1畳分の大きさをキャンバスに、郷土の歌人、若山牧水や川を泳ぐアユ、チキン南蛮の発祥地、延岡をPRするキャラクター「チキ南番長」などを描き、思い思いに地元の魅力を表現した。
2回目となる今年は、幼児から一般まで110点の作品を展示し、保育園、小学生、中学生、一般の部でそれぞれ最優秀賞、優秀賞を決めた。
守る会会長の木原万里子さんは「今年は新型コロナウイルスの影響で児童、学生の皆さんからの新規の作品が少なくなってしまったが、その分一般の方が頑張って制作してくれ、すばらしい展示になった。畳堤は先人たちが、自分たちの町は自分たちで守ろうと知恵を絞って作りあげたもの。作品を鑑賞するとともに、先人たちに思いをはせてもらえれば」と話す。
12月20日まで。