日向市民公益活動団体「コンパス」(迎洋園、TEL 0982-56-1828)が消費者目線での新たな「木づかい」を促進する「ウッドデザイン賞」に選ばれた。
2015(平成27)年から開催するウッドデザイン賞は、木の良さや価値観を再発見させる製品や取り組みを顕彰する。今年は全国から413作品の応募があった。全部門の総入賞作品数は197点で、コンパスは木を使って地域や社会を活性化しているものを対象にした「ソーシャルデザイン部門」で取り組みが表彰された。宮崎県からは3作品が入賞した。
同団体は1999(平成11)年に結成し、現在、日向市内の50代6人が活動する。2019年7月、木材を使った高校生用プログラム「高校生のつくる災害時家具展」を約1カ月間、日向市駅で開いた。災害への危機意識を市民のほか、日向市を訪れる人にも認識してもらい、被害の軽減を図ることを目的にしたもの。地元の高校生らに、災害時に必要とされるベッドやテーブル家具の組み立てを宮崎県産杉材を使って実践した。
木材利用と防災教育を組み合わせた取り組みが評価された今回の受賞。審査員から「備蓄の家具などの組み立てや設置も、有事の際にいきなりできるようになるわけではない。実物による体験は重要。活動を通じ、木材の特性や利用方法について学ぶ機会を提供している」と評された。
コンパス代表の海野洋光さんは「日向市で南海沖トラフ地震が起こった時に1万5000人の被害が想定されており、被害を抑える努力をすることが日向市民全体の使命だと思っている。減災に取り組むことで日向市の公益や市民の安心感につながる。防災訓練だけでなく、私たちがこういった防災活動をすることで他の団体でさまざまな防災活動が行われることを望んでいる。駅に災害時家具を置いたことで市民や日向を初めて訪れた人にも日向市がどういう場所か知ってもらえて、減災につながっていたらうれしい」と話す。