宮崎・日向の中央公民館(中町)で8月17日、「牧水・短歌甲子園」が開幕した。
日向市東郷町出身の歌人・若山牧水を顕彰し、開催される同大会。全国の高校生たちが自作の短歌を披露し、1チーム3人の団体戦で競う。今年は全国から1都11県31校、54チームの応募があり、予選を通過した12チームが参加した。宮崎県からは五ヶ瀬中等教育学校(五ヶ瀬町)、富島高校、日向高校(以上、日向市)、宮崎大宮高校、宮崎南高等学校、宮崎西高等学校(以上、宮崎市)の6校が出場した。
開会式では昨年優勝した宮崎西高校(宮崎市)の宮本陽香さんが選手宣誓を行った。「万葉の時代から続く短歌を通して三十一文字の奥に相手がいる喜びを感じながら、言葉で心を見つめ、心を伝え合うことを誓う」と宣言した。
十屋幸平日向市長は「県内の高校生を対象にスタートした大会も今年で9回目。全国大会となって6年目となるが、過去最高の54チームの応募をいただき牧水短歌甲子園の広がりを感じている。短歌の出来栄えと三十一文字に込めた思いをぶつけあい、自己表現の向上も目的としている。短歌に込めた熱い想いを披露してほしい」と歓迎した。
予選では各選手が「令」、「面」、「恋」の題詠で自作の短歌を披露した。「流星群見上げる夏のベランダに叶わなかった母の恋聞く」(宮崎南・浦田ゆりさん)、「箱ティッシュ使いきるまで好きでいてよいことにする失恋の夜」(宮崎西・宮本陽香さん)、「エプロンとカチューシャつけてプードルは赤信号に面と向かって」(金沢錦丘・本同加奈さん)、「顔面がひっくり返るくらい泣く居間に酸っぱいプラムの匂い」(盛岡第三・国崎萌子さん)、「アメリカで定番の恋は上司かと和英辞典の例文に知る」(五ヶ瀬中等教育・俵匠見さん)など。作品を披露した後は相手チームに対し「なぜその言葉を用いたのか」、「もっと明確な言葉を使い表現してみては」、「韻を踏んでいてすごくいい短歌」、「滑らかに読めるように工夫したほうがよい」などの意見を出し、討論した。
審査員は歌人の俵万智さん、大口玲子さん、笹公人さん。「短歌としての表現」、「高校生らしさ」、「共感を得たかどうか」などの点から審査し、勝敗を決めた。審査員長で若山牧水記念文学館(東郷町坪谷)館長の伊藤一彦さんは最後に講評した。
勝ち抜いたのは、東京家政学院高校(東京都)、金沢錦丘高校(石川県)、宮崎西高校、宮崎南高校の4チーム。18日、9時20分~準決勝、決勝が行われる。