宮崎・延岡の郷土料理「八杯汁(はちはいじる)」の作り方教室が7月4日、同市大貫町のかわまち交流館であった。
八杯汁は延岡藩内藤家の御家中料理で、かつてはお祝い事や法事などの際に作られていた。8杯お代わりするほどおいしい、だしに使う分量が8杯(だし6、しょうゆ1、酒1)、1丁の豆腐で8人分作れる――など、由来には諸説ある。
近年、存在すら知らない市民が増えていることから、同市出北でJAPANカレー亭を営む甲斐忠男さんらが中心となり昨年5月、「のべおか八杯汁の会」を発会。イベントなどで販売するなどの普及活動を行っている。
作り方教室は、作り方の基本を学び、飲食店や各家庭でオリジナリティーあふれる八杯汁を作ってもらうことを目的に開催。市内の料理店主や市食生活改善推進員連絡協議会の会員ら約30人が参加した。
水で戻した乾燥しいたけをスライスし、豆腐をサイコロ状に切る。いりことしいたけの戻し汁を、だし汁としょうゆ、みりん、酒で味を整え、しいたけと豆腐を加え、煮立った後に片栗粉でとろみを付け、もみ海苔をまぶして出来上がり。この日は、具材に延岡産のカボチャと七萬石トウガラシを使った。
試食したスナック経営の壱岐京子さんは「初めて食べたが、味もしっかりしていておいしい。昔、母が作ってくれていた汁の味に似ていて、懐かしい」と話す。
講師を務めた甲斐さんは「延岡には新鮮でおいしい具材がたくさんある。空飛ぶ新玉ネギ、北方のジネンジョなどの季節の野菜をトッピングするなど、味のオリジナリティーを楽しんでほしい」と期待を込める。
同会副会長の平山昌伸さんは「八杯汁は塩分が少なく低カロリーで、健康長寿を目指す延岡に最適の郷土料理。延岡の飲食店や家庭では、みそ汁の代わりに必ず八杯汁が提供されるようになるのが夢」と話す。