日本三大秘境の一つとされる、奥日向の椎葉村で11月10日から3日間、「椎葉平家まつり」が行われ、11日・12日は祭りのメインイベントである武者行列が催された。
平家の落人伝説の残る同村では、平家討伐の命を受けた源氏の大将と平家の末孫であった鶴富姫との悲恋が語り継がれる。この悲恋をしのび、逢瀬を再現するのが同祭。壇ノ浦の戦いから800年の1985(昭和60)年に始まり、途中災害による一時中断を経て、今年で32回目を迎える。
今回は那須大八郎には同村役場職員の右田和麿さん、鶴富姫には会社員の尾前愛美さんが選ばれ、「大和絵巻武者行列」の主役として笑顔を見せた。勇壮な武者姿で「出陣」の声を上げた那須大八郎や華やかな十二単をまとった鶴富姫に、見物客はカメラを向けたり、歓声を上げたりした。
その他、椎葉神楽保存連合会による神楽や宮崎学園高等学校吹奏楽部による演奏、稚児行列、地元に伝わる民謡「ひえつき節」の歌と踊りなど、総勢約300人がパレードに参加した。
椎葉村出身で現在は都城に住む60代の男性は「6年ぶりに帰省し、祭りを見物した。名物のヤマメや猪肉、ひえ雑炊を食べられて懐かしい気分になった」と話していた。