日向市日知屋の割烹(かっぽう)旅館「はまぐり荘」で11月18日から、絵手紙作家の塩月育代さんが個展を開く。
同市で絵手紙作家として活動する塩月さんは18年前に脳出血を起こし、一命はとりとめたものの、文字を読んだり言葉を話したりすることができない高次脳機能障がいの一つ、「失語症」を患った。
塩月さんは当時を振り返りながら、「突然言葉を失い、周囲とコミュニケーションが取れなくなった私に、兄夫婦や家族が絵手紙を送ってくれた。それがきっかけで私自身も絵手紙を描くようになり、それがリハビリとなって少しずつ会話ができるようになった」と話す。
塩月さんが描くのは日向市の祭り「ひょっとこ踊り」や花、動物の絵など。「読むときの脳と話すときの脳がひとつになりたい」など、病気を患って思った心の言葉を添えることもある。
外見からは障がいがあるように見えないものの、今でも人の名前が覚えられなかったり、話の内容が理解できなかったりすることがあるという。「今まで当たり前にできていたことができないというもどかしさがあるが、高次脳機能障害のことをもっと多くの人に知ってもらいたい、理解してほしい」と考え、体験を話し、県内で絵手紙教室を開く。今回の個展もその一環。
開催時間は10時30分~17時。入場無料。今月26日まで。