空き家活用のモデル事業として延岡市北小路でリノベーションされた家屋が3月3日、お披露目された。
祖父母の家だった物件を譲り受けた医師の岩谷健志さんが家主。岩谷さんはすでに同物件の隣に2022年7月、縁(えん)・在宅クリニックを開業している。仕事をする中で岩谷さんは、在宅医療をする人やその家族、医療従事者、福祉事業者などが集まれる施設にしたいと構想。建築家の山根俊輔さん、不動産会社経営の塩谷愛藍さん、フラワーデザイナーの増田千裕さんと共に空き家をどのように活用するか企画を練り、さまざまな立場の人が集まり、イベントなどを行えるコワーキングスペースとし、「むすび」と名付けた。
岩谷さんは「訪問医療のクリニックを立ち上げて1年7カ月。延岡市内の患者の家を訪問し、医療と福祉、地域などがつながっていない実態を知った。いろいろな人がここに集まり、話をしてつながっていける場にしたい」と話す。「スタッフの子どもたちが内壁を塗り、スクリーンを付けることにこだわった。何にでも使える汎用性のある建物にしたかったので、余白を残すデザインにしている」とも。
同事業は延岡市が市内にある空き家や空き店舗の解消を図るため、空き家の新たな利活用案を募集し、選ばれた物件には委託料を支払うもの。一昨年に選抜された山下新天街の物件に続き2軒目。完成に至ったのは初めてのケースとなる。