日向の特産「へべす」の認知拡大や販路開拓などを目指し、「へべすプロジェクト」の一員として「へべすくん」が活動している。
「ドラゴンアカデミー」でへべすの販路拡大についてプレゼンテーションする神林さん
へべすは香酸かんきつ類で、ユズやカボスと同類。日向・富高の長宗我部平兵衛が発見したため「平兵衛酢(へべす)」の名が付いた。もともと加工品を作ったり、全国に販路を広げたりするほどの生産量がなく、近年は農家の高齢化が影響し、耕作放棄地が増加、地元では特産品が消滅するのではないかと危惧する人も多い。
「へべすくん」を務めるのは、高鍋町の宮崎県立農業大学校園芸経営学科1年の神林光さん。祖母がニラ農家だったが、「農家が一生懸命、安全でおいしいものを作っても正当に評価されていないと感じていた」と話す。地域資源を使ったビジネスの担い手を育成する起業家セミナー「ドラゴンアカデミー」に昨年参加し、初めてへべすを知った。
「香りをかいでとりこになった。味はさっぱりしすぎず、かといって甘すぎずバランスがいい。これは僕らの次の世代にも残していかなくてはいけないと思った」と振り返る。
昨冬からへべすくんとして本格的に始動。地元のへべす農家だけでなく、東京でへべすを使う飲食業者に会うなどして、仕事の意義や地域創生の意味を考えるようになったという。現在、最大250本の苗木を植えることを当面の目標に活動する同プロジェクトに参加し、クラウドファンディングで一口苗木オーナーになる人を募っている。
目標金額は300万円、現在205万6,500円(約68%)が集まっている。神林さんは「へべすを後世に伝え、さらに将来日向に雇用が生まれる仕組みをつくりたい。残り10日ほどになったが、たくさんの方の支援をお願いしたい」と呼び掛ける。募集は3月29日まで。