宮崎・椎葉村大河内で11月22日・23日の2日間、「栂尾神楽(つがおかぐら)」が行われた。
「椎葉神楽」として1991年、国の重要無形民俗文化財に指定された。26カ所に伝わる椎葉神楽の中でも栂尾神社に奉納される神楽は約400年の歴史があり、最も古いとされる。五穀豊穣、無病息災を祈願する。
本殿に神を迎えに行く前に、ツタカズラを山型、谷型にして輪を作り、くぐったり、またいで越したりして汚れをはらい清める神事「つがもり」が行われた。境内で炊いた初穂の飯を膳に載せ「神饌(しんせん)」として供える「たいどの」も執り行われた。
拝殿内に設置された「御神屋(みこうや)」では太鼓や笛の音に合わせた舞が披露され、翌朝まで夜通しで神楽を奉納。地元の観客から御神屋に向けて、神楽をはやし立てる「せり唄」も歌われた。
同神楽保存会の黒木照美会長は「今年は地域おこし協力隊員と大学生の若手2人が保存会に入ってくれた。今後も伝統を受け継いでいきたい」と話す。50年以上同神楽に携わる男性は「栂尾神楽の特徴はリズムが他より早いところ。昔は村に電気が通っていなかったのでガス灯の下で踊っていたことを覚えている」という。
東京から見物に来た女性は「初めて見たが、思ったより笛や太鼓がリズミカルでビートを感じる。里神楽のどこかのんびりした雰囲気もいい」と話す。
椎葉村の神楽は各地区で12月下旬まで約1カ月間続く。