「のべおか天下一薪能」が10月10日、延岡の延岡城址(し)二の丸広場(延岡市東本小路)で開催された。
1997(平成9)年に第1回が開かれた能舞台で、今年は29回目、30年目の節目。安土桃山時代から江戸時代初期にかけ、「天下一」の名を授けられた能面作家がおり、旧延岡藩主の内藤家が天下一の称号を持つ面を30点ほど所蔵していたことに端を発する。天下一の能面を実際に使い、能楽界最高峰の演者たちによる薪能を延岡で行おうと考え、NPO法人「のべおか天下一市民交流機構」を中心に、ボランティアによって開催してきた。同NPOメンバーの高齢化などから、負担が少ない屋内公演に切り替え、一昨年、昨年と開催。今回は3年ぶりの屋外公演となったが、同NPOでの主催は最後となる。
当日は、通称「城山」と呼ばれる延岡城址の石垣「千人殺し」をバックにした能舞台が設置され、約1000人の観客で会場は満員となった。幕開けは「のべおかこども能」。地元の子どもたちが能楽教室で学び、今回は小学生から高校生までの男女6人が晴れの舞台を踏んだ。半能「葛城」、狂言「吹取」、能「船弁慶」の演目が披露され、同公演をプロデュースする観世流シテ方能楽師・片山九郎右衛門のほか、人間国宝のワキ方下掛宝生流能楽師の宝生欣哉さん、和泉(いずみ)流万蔵家狂言師の野村萬斎さんなどの熱演が繰り広げられた。萬斎さんが天下一薪能に出演するのは10年ぶり3回目。
途中、たいまつでかがり火をともした三浦久知延岡市長は「昨年はホールでの公演を鑑賞したが、全く雰囲気が違う。大木があり、虫の声がする自然の中、まきに灯がともる能舞台は本当に素晴らしい」と感想を漏らした。初めて同公演を見たという市内在住の40代女性は「思っていた以上に感動した。今回で終わってしまうのは非常に残念。何らかの形で続けてもらえれば」と話す。