
「高千穂郷・椎葉山地域世界農業遺産認定10周年記念シンポジウム」が10月31日、ホテル高千穂(高千穂町三田井)で開催される。主催は世界農業遺産高千穂郷・椎葉山地域活性化協議会。
認定地域に広がる棚田。生物多様性にも寄与している(写真提供=高千穂町役場)
世界農業遺産(GIAHS)とは、環境に適応しながら世代を超えて継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに関連する文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な地域として認定されたところ。高千穂郷・椎葉山地域の認定は高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、諸塚村、椎葉村の5町村からなり、2015年(平成27)年に国際連合食糧農業機関(FAO)により認定を受け、今年で10年となる。
高千穂町長で同協議会会長の甲斐宗之さんは「この地域の農林業複合システムやそれらによって形作られた景観、神楽などの文化が認められた。この10年、5町村で力を合わせて地域を担う人材の育成やツーリズムの取り組み、情報発信を行なってきた」と話す。シンポジウムについては「世界農業遺産認定の審査員として関わり、その後も何度も足を運んでいただいている総合地球環境学研究所の阿部健一名誉教授が『世界が認めた高千穂郷・椎葉山地域の価値』と題した基調講演を行う。パネルディスカッションは、就農、特産品、経済活動に生かそうとそれぞれの立場でこれからを担っていく方たちが集まる。高校生も取り組みの成果を発表するので、ぜひ聞いてほしい」と参加を呼びかける。「世界に認められたこの地域の当たり前の暮らし、農業、景観が実はすばらしいことだと気付かせてくれるシンポジウムになれば」と期待を込める。シンポジウム後にはレセプションも開かれる。
11月1日には認定地域を巡るエクスカーションが開催される。「西臼杵コース」を担当する五ヶ瀬町役場企画課の興梠諒さんは「茶園や工場の見学、お茶の試飲体験に加え、地元の方と語らいながら地域のありのままの風景を楽しみ歩く『フットパス』で、この地域の暮らしや景観に触れて、農と自然の結びつきを感じてほしい」と話す。シイタケ生産現場や木材加工センターを見学する「東臼杵コース」を担当する、諸塚村観光協会事務局長の田邉薫さんは「世界農業遺産と世界森林認証の諸塚村での農林複合の産業や暮らしの一端を見てほしい」と参加を呼びかける。
開催時間はシンポジウム=13時15分~17時30分(定員200人=参加無料)、レセプション=18時~20時(定員100人=参加費7,000円)。申し込みは10月17日まで。エクスカーションの定員は各コース先着20人。参加費は西臼杵コース=6,000円(高千穂観光協会、TEL 0982-73-1800)、東臼杵コース=4,000円(諸塚村観光協会、TEL 0982-65-0178)。