「野口遵翁生誕祭」が7月26日、延岡市東本小路の野口遵記念館で行われた。
旭化成の創業者で「延岡新興の母」と呼ばれる野口遵の誕生日が1873(明治6)年7月26日であることから開催する同祭。2015(平成27)年に始まり、今年で10回目を迎える。
延岡の女性合唱グループ「ヴォ―チェのべおか」のメンバー約20人と来場者による延岡市歌の斉唱の後、来賓が壇上で祝い花の献花を行った。
主催者である野口遵顕彰会の吉玉典生会長が、会として行う野口遵の歩みを知る小冊子の配布や毎年科学に関心の高い中学生を東京の研究機関に派遣する「ジュニア科学者の翼」の活動などを説明。野口遵が鹿児島県に作った水力発電所・曽木発電所は2006(平成18)年に国指定の登録有形文化財に指定されたが、2021年7月の九州南部豪雨で一部倒壊。その後復旧工事が進み、間もなく工事が完了する予定だということを踏まえて、「顕彰会で視察に行く機会を作ることができれば」との話もあった。
旭化成延岡支社の末次稔支社長は野口遵の先見性に言及。当時、国産の肥料をたくさん、安定的に作ることが食料安全保障につながると考えていたこと、今注目の「グリーン水素」も水力発電で生み出していたことなどに触れ、「野口さんのセンスの良さが表れている」と話した。
2022年12月に開館した野口遵記念館には、その生涯と業績が分かる展示を常設している。