
昨年5月に105歳で亡くなった画家・弥勒祐徳さんの個展「弥勒祐徳画業展」が5月9日から、延岡・本小路の「カルチャープラザのべおか」(延岡市本小路)で開かれる。
弥勒さん作「新田神楽」。神楽に出かけて舞を見ながら絵を描くのが弥勒さんのスタイルだった
同展は、弥勒さんが生前目標にしていた個展開催500回目に当たる。105歳まで生きた弥勒さんは多作の画家で、1000点以上の作品を描いてきたが、今回はそのうちの80点以上を展示する。
同展実行委員で弥勒さんの長男・猛さんは「父は第二次世界大戦のとき、激戦地の一つだったラバウルから奇跡的に帰国し、戦後は英語の代用教員になった。英語はあまり得意ではなかったらしく、絵が嫌いではなかったことから美術教師になった。ただ、始めは子どもの方が絵を描くのがうまかったので、それではいかんと毎日絵を描いていた。専門的に学んだわけではないので、キャンバスをたわしでこすったり、石でたたいたりとこだわりがなく、本人は『何に縛られることもない』と言っていた」と話す。
水彩、油彩、墨、アクリルと時代によってさまざまな画材を使い、テーマも「蛾(が)」、赴任した西都市内のへき地「寒川」、「神楽」「桜」「風景」など幅広い。晩年の祐徳さんについて、猛さんは「100歳を超えてもシニアカーであちらこちらに一人で行き、桜を題材に油彩で絵を描いた。その後施設に入り、昨年1月、父が絵を描きたがっていると施設の人から聞き、画材を持って出向いた。遺作は水彩で書きなぐった、エネルギーの放出のような絵だった」と振り返る。「今回、恐らく初公開となる幅約10メートルの和紙に墨と水彩で描いた大作『告白』も展示する」という。
5月10日には、弥勒さんが描いた絵本「木喰(もくじき)」の読み聞かせや、猛さんのトークも行う。開催時間は14時~15時。
個展の開催時間は9時~17時(15日は14時30分まで)。5月15日まで。