
延岡市浦城町で大型定置網漁業を営む延岡水産開発(浦城町)社長の岩切秀徳さんが2月14日、「津本式 究極の血抜き」の3つ星を獲得した。宮崎県では初の3つ星公式認定者となった。
津本式とは、「魚仕立屋」という、料理人に魚を渡す前段階の仕事をなりわいとする長谷川水産(宮崎市)の津本光弘さんが考案した「究極の血抜き」法。ノズルやホースで真水を魚の動脈や脊髄や腎臓に注入し完全に血抜きすることを目指す。そうすることで腐敗を防ぎ、生魚の状態でも長期の保存が可能になり、熟成技術への応用や、食品ロス削減にもつながる。
津本さんは「養殖魚でもおいしい魚に変えられる」と自身で考案した魚の処理方法をユーチューブで公開してきた。岩切さんは「魚の仕立ての常識を覆すその手法は、多くの漁業関係者や料理人に衝撃を与えた。私も3年前から津本さんの動画を見よう見まねで研究してきたが、まさか3つ星をもらえるとは思わなかった」と話す。
岩切さんは、自身の定置網で捕ったブリを、脊髄ノズル、動脈ノズル、胃袋洗浄、腹膜内洗浄をしてから「津本式 究極の血抜き」を行い、その後、ホースで脊髄と動脈から逆流させ、全体を荒い流し、立て掛けて完全に血抜きする。1本10キロあるブリを多い日は30本ほど手際よく血抜きし、そのブリを長谷川水産が仕入れ、全国の料理人に届けてきた。その丁寧で正確な仕事ぶりを見てきた津本さんが3つ星を認定したという。
「陸の孤島といわれる宮崎だが、鮮度ではなく熟成で勝負できれば、産地と消費地の距離が遠いことは問題ではなくなる。これからも宮崎の魚のおいしさを広めていきたい」と岩切さん。「全国で20人ほどしかいない3つ星公認に選んでいただいたのは励みになる。まだまだ進化できると思うので精進したい」とも。